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研 究 内 容

平川 秀忠

助教

先端医学・生命科学研究チーム

医学・生命科学分野


細菌は単細胞生物であるが、特定の化学物質を介して同菌種あるいは異菌種間で情報のやりとり(Communication)を行っている。これは細菌を1つの細胞としてではなく集合体(Community)として捉えるユニークな概念である。細菌は環境中において情報伝達というツールを用いたグループ活動により、二次代謝物の産生、DNAの取り込み、Biofilm形成、薬剤抵抗性や病原性因子の産生など多彩な生理機能の制御を行っている。

我々のグループでは、情報のやりとりを担う化学物質(シグナル分子)の探索、その情報伝達機構および、生理的役割の解明を目指している。現在は、我々が以前に発見した光合成土壌細菌由来のp-Coumaroyl-homoserine lactone(pC-HSL)と腸内細菌によって産生されるIndoleシグナル分子に着目して研究を行っている。

(1)pC-HSLシグナルの産生、応答機構の解析

 多くのグラム陰性細菌はシグナル分子としてHomoserine lactone誘導体を産生することが知られている。これまでに知られていた分子は、共通のHomoserine lactone骨格と側鎖に脂肪酸を持つタイプであり、細菌の脂肪酸代謝の過程で産生される。ところがpC-HSLは、植物由来の代謝物であるp-Coumarateを側鎖に持つ新しいタイプのHomoserine lactoneシグナル分子である

 本シグナルの役割はまだ分かっていないが、遺伝子欠損株と精製蛋白を用いた解析により、pC-HSLの生合成酵素CouA、RpaIとレセプターRpaRを同定することに成功した。加えて、pC-HSL情報伝達系の活性を抑制する因子としてnon-coding anti-sense RNA(antiR)を発見した。細菌は、pC-HSLの生合成酵素の発現を誘導することでシグナル分子の増幅反応を行うが、同時にanti-sense RNAを用いることによりシグナル産生量の抑制も行い、情報伝達系の活性を適切なレベルに調節している(下図を参照)。

(2)Indoleシグナルの役割と情報伝達ネットワークの解明

IndoleはTryptophanase (TnaA)によって必須アミノ酸のTryptophanから生合成される。多くの腸内細菌はゲノム上にtnaA遺伝子を持っており、Indoleを産生することができる。我々は、Indoleがシグナル分子として大腸菌の薬剤排出ポンプとGlutamate decarboxylase遺伝子の発現を誘導し、抗生物質と酸への抵抗性を増大させることを発見した。さらに、Indoleは腸管出血性大腸菌O157の病原性因子であるTypeIII secretion systemとその分泌蛋白質の発現を誘導し、宿主上皮細胞への病原性を高めることも明らかにしている(下図を参照)。

細菌は、自然界や宿主内において単独では存在しておらず、同菌種あるいは他菌種と共に集合体を形成し、様々な環境変化に適応しながら生活をしている。我々は、細菌の情報伝達という角度から、環境中における個々の細菌の振る舞いや生活環について理解したいと考えている。