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研 究 内 容


成熟動物の脳内において主要な抑制性伝達物質であるGABAが発達期には興奮性に作用し、神経回路形成・再編成、細胞移動などにおいて重要な役割を果たしていることが近年注目されている。未熟な神経細胞では細胞内にクロライドを組み入れるトランスポーターであるN⁺-K⁺-2Cl⁻ cotransporter (NKCC1)が発現しており、クロライドをくみ出すトランスポーターであるK⁺-Cl⁻ cotransporter (KCC2)の発現が低いため、細胞内クロライド濃度が高く、GABAは興奮性に作用する。発達に伴いNKCC1の発現が減少し、KCC2の発現が増加するため、細胞内クロライド濃度が低くなり、GABAが抑制性に変化する。成熟した脳においても、障害により急速なKCC2の発現減少がおこり、GABAの興奮性が再現することが知られている。

 私はこれまで、成熟神経細胞でのKCC2の機能制御について検討し、チロシンキナーゼによるリン酸化によりKCC2 はリピッドラフトにとどまりやすくなり、クラスターを形成し効率的にCl-を排出させ、局所のCl-濃度を低く維持している可能性を示した (J. Biol. Chem, 2009)。また、障害により急速なKCC2のチロシンリン酸化の減少が起こり、KCC2機能の低下によりGABAの興奮性作用が再現し、細胞死を促進することを明らかにした(J.Neurosci., 2007)。

 発達や障害によりダイナミックに変化するKCC2は成熟動物の脳内においてほとんどすべての神経細胞で発現しているが、生殖内分泌調節において重要な働きを持つ生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンでは、GABAが成熟脳においても興奮性に作用しているという特有の性質を持つことを明らかにした。GnRHニューロンにEGFP蛋白を特異的に発現させたトランスジェニックラットを作出し (Endocrinology, 2003)、EGFP蛍光を指標に同定したGnRHニューロンを用いて、GABAにより細胞内カルシウムの上昇がみられることを示した(Biology of Reproduction, 2009)。


マウスの性周期は4日で、卵巣から分泌されるエストロジェンの作用により、GnRHニューロンからGnRHが大量分泌され、その結果、下垂体より黄体形成ホルモン(LH)の大量分泌が起こり、排卵が引き起こされる。通常のGnRHはパルス状に分泌されている。GnRHニューロンは視床下部に散在しているにもかかわらず、パルス状分泌や周期的な大量分泌を引き起こすメカニズムは明らかになっていないが、多数のGnRHニューロンの活動性の同期が関与していると考えられる。GABAが興奮性であることが特徴である未熟な神経細胞や障害された神経細胞ではGABAに興奮性を示す細胞間で活動の同期がみられるという報告があり、成熟した脳においてもGABAが興奮性であるという特徴を持つGnRHニューロン間で同期活動を行うことにより、GnRH のパルス状分泌や周期的な大量分泌が起こり、排卵を引き起こしている可能性が考えられる。

 本研究では、GnRHの周期的な分泌およびパルス状分泌におけるGABAの興奮性作用の役割を明らかにしていく。また、GnRHニューロンは胎生期に嗅上皮から視床下部に移動するが、GnRHニューロンの移動におけるGABAの興奮性作用の役割を明らかにしたいと考えている。さらに、発達期におけるGABAの興奮性作用の役割についても明らかにしていきたい。手法としては、遺伝子改変マウス作出、イメージング、電気生理、組織学的手法など広く用いていきたいと考えている。

渡部 美穂

助教

先端医学・生命科学研究チーム

医学・生命科学分野

2012.7.31 退職 浜松医科大学へ転出